本当に変わったのは“学びの環境そのもの”だった
■ はじめに
「最近の子は集中力がない」「スマホばかりで勉強しない」
保護者の相談を受けていると、こうした声をよく聞きます。
しかし、現場で中学生を何百人も見てきた立場からいうと、
学力低下の本当の原因は「スマホ」でも「コロナ禍」でもありません。
もちろん、それらも影響“は”あります。
ただ、一番大きいのは 子どもを取り巻く環境構造が大きく変わったこと。
この記事では、
「なぜ今の子は学力が維持しにくいのか?」
「どう対応すればいいのか?」
を教育者×保護者の視点で分かりやすく解説します。
① 学力低下は“勉強量”の問題ではない
多くの保護者が「昔より勉強しなくなった」と感じています。
しかし、実際には 宿題量やテスト量はむしろ増えている ことが多いです。
ではなぜ結果が出ないのか?
② 最大の原因は「生活の密度が薄くなった」から
これは塾現場で最も強く感じる変化です。
● ポイント1:予定が“細切れ化”した生活
- 習い事が複数
- 部活はほぼ「週6」
- 学校の提出物が多い
- SNSでのやり取りが途切れない
→ 常に「急ぎの用事」に追われる生活になり、
腰を据えて取り組む勉強ができなくなった。
● ポイント2:小さく疲れることが増えた
今の子は
- 心が休まる時間
- 何もしない時間
が極端に減っています。
結果として、
“脳が深く働く前に疲れ切る” → 集中できない
という構造が生まれています。
③「自分で決める経験」が減った
塾でも家庭でも起きている変化です。
昔:
- 友達と遊ぶルールを自分たちで決めた
- 暇な時間を自分で埋めた
- 失敗して怒られて学んだ
今:
- 習い事や予定は大人が決める
- 学校のルールが細かく「危険ゼロ」
- 暇な時間はスマホの“受動的な刺激”で埋まる
→ 考えるより「用意された道」を進む生活になる
この結果、
応用問題・記述問題・思考力問題に太刀打ちできなくなる。
「学力低下」ではなく、「思考の負荷に弱くなっている」と言うべきです。
④ スマホの問題は“時間”ではなく“脳の波の乱れ”
よくある誤解:
×「スマホを触る時間が多いから学力が下がる」
〇「スマホによる“断続的な刺激”で思考が深まりにくい」
集中に必要なのは「シータ波→アルファ波→ベータ波」の流れ。
ところがスマホは
- ポンッという通知音
- 数秒で変わる映像
- タップごとの快楽刺激
これらが邪魔をして、
脳が“集中状態”に入り切らないまま学習に移る。
時間があっても内容が薄くなる理由はここにあります。
⑤ コロナ禍は“生活リズムのバグ”を残した
コロナで大きく乱れたのは「概日リズム(体内時計)」。
- 夜型化
- 食事や睡眠の乱れ
- 運動不足
- 生活のメリハリの喪失
これらは「やる気の出ない脳」を作ります。
いまだに引きずっている子が多いのは、まさにこの部分。
⑥ 解決策:学力は「生活の再設計」で回復する
今の子どもに必要なのは、
“勉強量を増やすこと”ではなく、
勉強できる脳と環境をつくること。
以下は塾現場で成功した方法です。
● 1)勉強前の“10分ルール”
- スマホOFF
- 机整理
- 深呼吸
- 今日の目標を1行書く
10分で脳が勉強モードに入る。
● 2)30分学習 × 5分休憩の「集中リズム」
最も継続率が高い。
● 3)家庭は“優先順位”だけ管理する
やる内容は子どもに決めさせる。
大人が決めるほど依存が強くなり、主体性が育たない。
● 4)塾の役割は「時間管理」と「伴走」にシフト
授業量よりも、
- 宿題管理
- 進捗チェック
- 面談
が重要な価値に。
⑦ まとめ
学力低下の原因は
スマホでもコロナ禍でもなく、
「脳が深く働きにくい生活構造」 にあります。
これを整えるだけで、
偏差値は想像以上に伸びます。

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